突発クラ×ジュリSS (クラヴィス田中秀幸ver)

 

- 孤独の森で -

 

感じたのは、恐怖だった。いつも傍らにいる者の喪失。その者が一瞬にして消えた恐怖・・・

次に感じたのは、孤独だった。一人彼を探す孤独・・・

そして今感じているのは不安だった。また失ってしまうのではないか、という不安・・・

 

 

「クラヴィス、そなたは休んでいろ。いくら大丈夫と言っているとはいえ、つい先刻まで闇に囚われていたのだからな」

孤独の森から帰ってきた後のジュリアスの様子は明らかにおかしかった。

本人はさも何事も無かったかのように冷静に勤めていたため、周囲の者は気付かなかったであろう些細な変化であった。

しかし、長く共にいたからであろうか、光り輝く彼を見つめ続けてきたからであろうか、クラヴィスにはジュリアスの不安、恐怖、孤独・・・それらの負の感情が手に取るようにわかった。

 

彼にはこのような負の表情は似合わない。

いつもは憎らしくもある、気高き表情や自信に満ちた物言いを、今はとても聴きたいとクラヴィスは感じていた。

 

 

「休んでいろ・・・とは、今の私が足手まといになると、そういうことなのだな」

「そうではない!!ただ・・・ただ私はそなたの身体を!!」

「心配している、とでも言いたいのか?珍しいことだ。」

「なにっ!!」

わざと軽蔑するかのように言うと、案の定、感情的な態度で返してくる。

感情的になることの少ない彼が、唯一自分だけに見せる姿に、クラヴィスは心地よさを覚え、尚も続けた。

「そうだろうな。お前が私の身体の心配などするはずが無い。私が1人連れ去られたとき、さぞお前は嬉しかっただろう?」

「お・・・まえ・・・」

己を軽蔑された怒りの感情に声が震えているのだろう。ジュリアスはその表情を見られないようにするためか、ただひたすらに地面を見つめていた。

「しかし私はまた、ここに戻っていている・・・ジュリアス、残念だっ・・・」

―――バシッ―――

ジュリアスが頬を打ち言葉は遮られた。仰いだジュリアスの瞳からは、止めどない涙が溢れていた。

 

「き・・・貴様、本気でそのようなことを言っているのか?私がそのようなことを思うとでも?私が・・・どのような思いで・・・・・・・ぅんっ!!」

不意に、唇がふさがれる。いつもの闇の静寂からは考えられないほどの、激しく、熱い口付けだった。

 

「な・・・!!何をする!!嫌がらせも大概にしろ!!」

クラヴィスの身体を押し返し、塞がれていた唇を、手で隠しながらジュリアスは叫んだ。

 

「嫌がらせ・・・か。あまりにも情けない顔をしていたものでな。涙を止めてやろうと思ったのだ」

「・・・っ、ふざけるな。お前には私の気持ちなど!!」

「全て・・・見えていたのだ。」

「・・・?」

「あの時の、森の様子が。私には見えていたのだ」

「どう・・・いうことだ?」

「お前が必死に私を探していたことがな。森の木の輝きに映って全て見えていたのだ」

 

 

全て見えていた。彼の不安、孤独、恐怖などの表情が。

いつもは見る事ができない表情。

それを自分がさせていると思うと、切なさと同時に、妙な嬉しさ、愛しさを感じていた。

 

 

「じゃぁ・・・私は」

見られていたということを悟り始めたのか、ジュリアスの顔が紅く染まる。恥ずかしさからか、声は震えていた。

クラヴィス・・・、クラヴィスはどこに行ったのだ!!と情けない声が五月蝿いくらいに聞こえていた。」

「なっ・・・・な・・・。違う!!違うぞ・・・。よいか、私はそなたを心配したわけではないのだ。ただ、守護聖がかけると色々と支障が・・・」

 

 

「ジュリアス・・・」

 

 

先刻までの厭味な物言いではない。優しさに満ちた声音でささやかれ、ジュリアスは思わず見上げた。

 

 

「ありがとう・・・」

 

 

そこにはひどく穏やかな表情をしたクラヴィスの顔があった。

 

目が・・・離せない・・・

 

一瞬の出来事であったであろう。しかしその時間はジュリアスにとって、とても長いものに感じられた。

「んっ・・・・」

唇が重なる。

口付けは拒まれることなく、深く、深く重なり、やがて離れていった。

「っあ・・・・」

離れた唇のぬくもりに、思わず声が零れた。

 

「どうしたのだ?たかが感謝のキス程度で、腰が抜けてしまったのか?情けないものだ・・・」

フッ・・・と嘲り笑うような声が聞こえた。

そこには先ほどの優しさに溢れた表情ではなく、普段どおりのクラヴィスがいた。

「!!そんなことあるわけ無かろう!!そうだ、クラヴィス。お前はわたしに助けられたのだ!!その口付・・け、感謝の印として、不本意ながら貰ってやろう」

光栄に思うのだな!!とセリフを残し、ジュリアスが部屋から出て行く。

物言いこそ、彼らしかぬ乱暴なものであったが、首筋まで真っ赤になりながら言う様子は、明らかに説得力に欠けている。

その様子を見て、クラヴィスは一人微笑んだ。

 

やはりお前には負の感情は似合わない。

気高く、誇り高く、光り輝く私だけの天使・・・

彼の全ての表情を、これからも見ていきたいと感じた。

これからも、彼のそばで、すっと・・・・・

 

FIN


 

甘!!あまあまあまあまあまーーーー!!ぷんぷんジュリアス様と、優しい感じのクラヴィス様を書きたかっただけにゃの。
なんかキャラが違うーーー!! ま、いっか・・・。


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